To be my Grace - XVIII

Posted by 美海 * mimi on 14.2014 To be my Grace
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________  コン・コン・・・



「 はい、どうぞ。 」


京子の楽屋をノックすると、そこには蒼碧色の瞳の彼女が居る。

そっとドアを開け音を立て無い様に閉めながら、そっと近づいた。



「 どう? 眠りそう? 」


「 うん、今ね・・・寝るところ。 」


「 いいよ、こっち・・・」


彼女に両手を出して、腕の中に抱き寄せた。

腕の中で、ふわぁぁと目を擦りながら、アクビをして・・・
そのまま瞼を閉じながら体重が胸に寄り添う様に乗ってきて、その頭を優しく撫でていた。

彼女の寝ながら垂らすヨダレが服に附かない様に、そこにあるタオルに手を伸ばし
自分の服と彼女の顔の間にタオルを掛ける時、あまりに可愛くて愛しくて、淡紅色の頬にキスをした。



「 いいよ、京子も着替えて。 」




うんじゃぁ、そうする・・・



今日の彼女のドレスは、俺のお見立て。

・・・だって、それはもう __________



今・・・

自分の腕の中に眠る、可愛い我が子が生まれて

アメリカ国籍と日本国籍の両方を申請する際、キョーコも・・・

最上から、ヒズリに名前が変わっていた。



自分にとって、とても大事な・・・

心の中にいつも居てくれる優しい存在。


子供の頃から何も変わる事の無い、思い出すと優しい気持ちに成る

あの夏の日の河原で過ごした綺麗な思い出・・・

今も、同じ様に・・・


彼女と今もこれまでも、そして・・・これからも・・・

この優しい思い出で、心の中を埋め尽くして行くのだろうと、心から思える。



________ コン・コン。


「 キョーコ・・・何か手伝おうか? 」


楽屋のドアを叩いてドアの向こうから聞こえた声は、琴南さん。

自分の胸に抱くといつも・・・
大きな胸と手と腕の安心感からか直ぐに寝てくれる子を、胸に付けて背中を摩りながらドアを開けた。


「 あっ、あれ? 敦賀さん? 」


「 琴南さん、おはよう。 」


小声で琴南さんに声を掛けて しーっとするも、自分の抱いている赤ちゃんを見れば直ぐに判ってくれる。

あ~、すいません。と小声になって・・・子供は寝ている時が天使ですね。と微笑んでくれる琴南さんはキョーコが言っていた通り。

兄弟が多く、お兄さんやお姉さんの子供まで・・・なんだかんだ言っても子供慣れしている。


“ 寝ているところを邪魔しないのは、起きたらめんどくさいから。 ”


そんな毒舌を吐いたりもするけれど、実際 彼女が子供に構ってあげるのは、家族みんなが大好きなんだと思える。
兄弟の居ない俺とキョーコにとって、羨ましいと思う・・・から・・・

自分の愛する子には、姉弟を作ってあげたいと思う。


・・・でも、まぁ・・・とりあえず・・・


できちゃった・・いや、授かり婚と云う・・・俺達二人の運命は・・・
こんな運命を授かったものだと、運命に任せるのがいいと思うだけで

その時を又、自然に待っていればいいんじゃないかって _________




「 モー子さぁん。 」


今、着替えてた。声は聞こえていたけどぉ。とカーテンで仕切られた場所から、静かに出てきたキョーコの運命は・・・



「 ね~、続き。楽しみだね~! 」


うふふっ。そうだね~、久しぶりだもんね~。アンタとまた演技するの。と、言葉を返す琴南さんも、俺も貴島も上杉君も・・・

また映画の続編が決まったのは、撮影がクランクアップした直後。



それは、監督曰く・・・


“ この話。 永遠に出来る。 ”


・・・と、言っていた事で、もうすでに同じチーム&キャストで決まっていた。


そう・・・

“ 死んでいる人の復活ならば、終わりが死んでしまうから、
・・・また違う時代に復活できる。 ”


あっはっは~。今度は4330年!地球が滅亡してもさ~、違う惑星の海とか使ってね~~。ピラミッドのクフ王が4000年前で~、シーザーとクレオパトラが2000年前でしょ~。2000年のは撮ったから、今度はその2000年周期の後の、AD4000年だよ~~!3はさ~、3333年にしようかな~とかって。戻って? SUN に掛けて?
太陽みたく?

復活、復活~!

だっはっは~!・・・と笑いながら、Tragic MarkerでもBJが復活し続ける、未来に復活が大好きな監督。

“ でもね敦賀君。・・・今度は京子さんが妊娠しない様に気をつけてね。 ”

とまぁ、付け足して言われてしまったのと、京子としてまた活躍できる・・・
いや、復活好きの監督による・・・京子の復活を彼女は、とても楽しみにしているから。


ぐっすりと寝つきのよい我が子を胸に抱いて、彼女達二人を見ていると、夢の溢れる新人時代。そのサポートも、ぜひ、先輩として してあげたいと思っている。



________ コン・コン


ドアのノックが聞こえると、そっとドアを開ける。

しーっ。ごめん。と声を掛けて・・・

その顔を見ると其処には・・・俺の顔を見て・・・


「 おっ? 久しぶり。 」


にっこり・・・

“ 翠の瞳で ” ・・・微笑んでくれる、貴島が居る。


あ~、見せて~赤ちゃん~!と子供好きの貴島が覗くけれど、ぐっすり寝ているので
目を瞑ったままのこの子の瞳の色は、見えない。




________ クランクアップから数ヶ月。

今日は映画公開直前の、映画プレビューの挨拶の会場にいた。



“ 続編があるので、現実の君たちがここに存在していて欲しくない。”

 ので・・・

“ 髪の色と髪型と、瞳の色だけ、挨拶の時には役の設定で、宜しくね。”

・・・と監督に言われたキャスト。


近衛監督・・・

名前は出すけど、今度は全員のビジュアルをウヤムヤにする作戦だった。
・・・又してやられたり。


琴南さんと鏡の前で話しながら鏡に向って、カラーコンタクトを入れている京子。
ストレートの長い髪に黄金はついていないけれど、あの髪が輝いて光を放っていた色・・・

スモーキーなブロンドの髪を着けると、・・・思い出す。

目の前にいるコイツが変えた俺の京子。
Dark Moon の、どうにかしてやりたかった、貴島にも、んで・・・キョーコにも。
そんな事を思い出し・・・


「 京子ちゃ~ん、よっ!俺の理想! 」 

そんな掛け声をかけている貴島を見て、今なら余裕で微笑んで見ていられる。


この、翠色の瞳の素顔のままで・・・

敦賀蓮の名前のまま。それに何も気にしない、今日は貴島も同じ瞳。
琴南さんも陽の色の瞳に黒髪で、京子も・・・

胸に抱いている我が子と同じ、蒼碧の瞳とブロンドの髪。


それに俺も、自分の髪色に戻していた。


黄金の月桂樹の冠の光が創り出してくれた、光・・・

先にもう見た 出来上がった映画の中には、自分の素顔と同じままの自分が其処に居て

・・・敦賀蓮の名前のまま、久遠ヒズリの姿に成って上映される。


だから今日は、冠の似合わないスーツだから、髪の色を影像と同じにして下さいと言われ

素直に・・・


 “ じゃぁ、染めてきます。 ”


そう返答し、元に戻してきた。

皆が初めて見る俺に、何も言わないけれど・・・
琴南さんが今 楽屋を訪れた時にあれっ?と疑問符だったのは、初めてこの姿で会ったから。

貴島も全く同じ。おっ・・・は、あれ?だったのだろうが、直ぐに俺だと分かっているのは、同時撮影が多かった俺達にとって、画像の中の自分達を撮影中はずっと一緒に確認していたから。



「 蓮、京子ちゃん。そろそろ・・・ 」


ドアの開いた向こうで社さんが呼んで、あ、みんな居たの?じゃぁ貴島君のマネージャーさんに、居たよって言いに行ってくる。そう走り出した社さんとすれ違いざまに、上杉君もやってきた。

皆で廊下を歩いていると、子供を抱いたままの俺に、赤ちゃんどうするの?と聞く上杉君。
ほっぺをツンツン、すべすべ~。と触っている貴島に、ダメ。寝てるから。とブランケットを巻き直し、反対側にも抱き直し・・・名前は~?と聞く貴島には・・・




そして・・・



会場の前にくるとスタッフさんに行く先を促される、俺達主要キャスト。


_____ どうぞ~、それぞれの名前の椅子に座って。


会場には並べられた椅子の背に、それぞれ名前が入っている。

皆それぞれ撮影時に使う、ディレクターズ・チェア。


「 あっ! あれぇ・・・!? 」


隣で驚く貴島を見て、微笑んだ。


「 欲しいって言ってたよね。同じ様な雰囲気のやつ。 」


そうだよ。アールにそれぞれの雰囲気を伝えてね、頼んで作ってもらった。
だから、これからも使ってね。プレゼント。 そう付け足すのは・・・

皆にずっと、これからも・・・

ディレクターズ・チェアを持てる様な主役級の役が、

京子にも、琴南奏江にも、上杉飛鷹にも、

貴島秀人にも、敦賀蓮にも


ずっと来て欲しいとの、俺からの願いを込めて・・・



そして、もちろん監督にも。メタボなお尻がはみ出ないサイズ・・・。

それに、まだまだご自分の想像を創造し続けて欲しいとも、永遠に続けられる彼の創る世界の中に、自分達を出演させて欲しいとも・・・

未来を想像する事が大好きな監督の、彼が残すものは

いつかのその未来の時がやってきた時

その時までの歴史の一部として残り伝えられていて欲しいと、

新しいこれからの歴史を、ずっとずっとずっと作り続けて欲しいとの、願いを込めて・・・



 “ 皆がずっとこの場所に居座り続けられる事が出来るほどの

  この世界でのご活躍を、心から祈っています。 -敦賀蓮より- ”




それぞれの椅子の上に置かれた俺からのメッセージカード。

読んでスーツのポケットに入れた貴島が、敦賀く~ん。さんきゅ~!と横で言って差し出された手に握手した。
抱き寄せられて握手して無い方の手で、背中をバンバン叩かれる。

なので、俺も・・・叩いてやった。


 「 おぉ~!ちょ~ピッタリ! 」


椅子に座った貴島が驚くのも無理は無い。サイズはそれぞれ・・・自分の対比サイズ。


「 それは、私が目測しましたよ。 」


ニコニコしている横の国宝人形師・最上。ならぬ、人形師・ヒズリに相談したら直ぐに測ってくれていた。

( CG技術プロ&PC並み・・・ )

そう思ったのは、椅子が出来てから・・・。
椅子が届いて直ぐの事。キョーコが家で椅子を広げたら、3mぐらい離れてじーっと見ていた。どうしたのかと思ったら、よし。と言って畳んだ事。

きっと彼女の頭の中では、CGさんが扱う・・・

バーチャル透明人間が居たのかと思える。

神殿の中を透明人間が歩いて膝丈までの薔薇の花びらを散らしていたあの影像。
自分のアンドロイドが歩いていたアレの様に、そこに試しに頭の中で座らせていたのかと思っていた。なので・・・

座った全員がピッタリ嵌って、全員が驚いていた。





____________ この椅子に座る前・・・


「 ね、飛鷹くんさ・・・」

ゴショゴショっと京子が耳打ちした後・・・蓮。と呼んで両手を差し出した。
その両手に、じゃぁ宜しくね。と赤ちゃんを渡して手ぶらになった俺・・・


「 座ったら、お膝の上に寝かしておけばいいよ。 」


そう言って一緒に会場入りしていた。


Love Letter from RT and CH