恋愛も、仕事も、友達付き合いも完璧で理想の男-第5話 10:40pm

Posted by 美海 * mimi on 26.2014 DRAMA
________ 10:40pm



「 さぁ、じゃぁそろそろ・・・」

そう言って書類を纏め始めている同僚のシャツの袖を見ると、長く伸ばしてきっちりボタンをはめている。

なるほど・・・5時近いんだろな・・・

そう思って自分の携帯を、脱いで椅子の背に掛けていたジャケットのポケットから取り出した。

プラダの子が入れてくれた、アイツのためのカプチーノ。
俺に入れてくれた、マキアート。
元同僚にいれてくれた、アメリカーノ。

それぞれ会議中、一口ずつ口を付けただけで冷めてしまっていたけれど
時間を見ながらカップを手に取り、口に付けようとした。

視線を感じたので視線の方を見ると、ダナ・キャランの香りの彼女がじーっと見ている。


_____ あの・・・エスプレッソにしますか・・・

そう言い掛けた彼女を見て、口を付けたカップを飲まずに置いた。


「 俺のデスクに、水のボトル・・・あるから持ってきてくれる? 」

そう言うと、はい。と言って立ち上がった。

甘い香りの彼女も、ちらっと同僚を見てカプチーノの中を確認すると・・・
にこ~っと、書類を纏めているコイツに微笑んで、じゃ、私も~、と言ってコイツの傍に寄って、好みのものに入れ換えて・・・?と、手で口元を隠して小声で言っている。

自分には、真横に居たので口元の言葉も見えたし、声も聞こえていた。

他の人をごまかす為に、レイアウトの彼女を呼びに行く~。と言って、二人そろって出て行った。

そんで・・・横のコイツは、どうするんだろ?

そう思って携帯を見ていると、メールの着信が1時間以上前にあったのに気が付いた。
メールの画面に送信者の名前を確認して、ふっと微笑んでいたら、元同僚が・・・


_____ ねぇ、貴方さっき会議中に行った事。


突然の声に、ふっと顔をあげてそちらを見た。


_____  How do you think about…  “ どう思うか・・”

How do you think about. . .me  “ そうね、私の事をどう思う・・・?”

Because this is it, … “ それは、同僚だから・・・?”

the differences between Tokyo and New York  “ 東京とニューヨークに離れてなにか違いが・・・?”


元同僚は、俺が見ていたスマフォをそっと取りあげてテーブルの上に置き、目をじーっと見詰めてネクタイの結び目を指で撫でている。

I don’ t feel anything from knowing as nothing I can do

“ 何も出来なくても何も気持ちは変らなかったって、思うけど “

You said me before meeting “ Here it’s Japan, they are Japanese. You should be my guest. . . did you gotta it ? “

“ 会議の前に言ったわね、ここは日本で日本人で、自分の立場からのお客として扱うからって”


そう言って、ぐいっとネクタイを引っ張ると唇が触れるところで・・・



_____ I can be your guest

“ いいわ。それで・・・”



そう言って、唇を重ねて来た。


「 No, no… It’ was not this mean..in.g….」

驚いて目を開けたまま、そう言う意味じゃな・・い・・・と云う反論の言葉も、そのキスに掻き消されてしまった。


それに気付いた書類を纏めてトントンとテーブルに叩きそろえた、今の同僚。

ふと後ろを振り返えるように見たと思ったら、キスをされている背中をパシッと書類の束で叩き・・・

「 お疲れ。じゃぁ俺は、帰るよ。 」

と言って出て行ってしまった。


_____ ブーン、ブーン、ブーン・・・

テーブルの上の携帯が震えている。元同僚のネクタイを掴んでいる手を握ったら、キスから ちゅっと音を立てて離された。

今去って行ったアイツが見ていた先を見ると、水のボトルを持ったまま自分たちを見つめていた彼女。

元同僚の手から手を離し手の甲で唇を押さえて見ると、ルージュが付いていた。


その手の甲をそちらに向けて、親指で唇のルージュをふき取りながら・・・


「 あぁ、ありがとう。そのボトル・・・

一度、開け掛けたけど、まだ・・・口を付けてないから・・・」


そう言うと、元同僚は耳元で・・・


_____  うふふ、そうなんだ・・・。でも携帯・・・

と耳元に言葉を残し耳元に顔を寄せたまま、表に向けて置かれた携帯をコツコツと指で叩いている。引っ張ったネクタイをきゅっと両手で締め直し自分好みの形に整えると、ニコッと俺に笑った。


_____ I will see you later


そう言って、背もたれに掛けたあったジャケットのポケットにメモを入れながら立ち上がった。

ドアの所に立っている彼女の傍を通り抜けた時、


_____ You have good observations


そう言って、お水のボトルを ちょんと指で弾いて出て行った。



それらの意味を、彼女がどう取っているのか・・・

自分の中に感じていたそれらの意味は、二通りずつ・・・

それぞれ・・・



彼女を見詰めたまま、無言で立ち上がりジャケットを手に取って

「 ありがとう、お疲れさま。 」

そう言ってボトルの水を握る彼女の手を、ルージュのついた手で握った。



________ 10:55pm ( Ending )




・・・パチッ



ベッドサイドの明かりを点けて、その横に置いてあった携帯を見た。

( 今、何時・・・?)

カーテンの開けたままの窓の外には、地上の星空が広がっている。
この前同僚と見た景色。・・・同じホテルの上の方の階だった。

今夜は地上の星空に負けず劣らず、空にも星が何個か見えている、暗い新月の夜だった。

その景色をベッドに起き上がって見ていた。

部屋の中に目を移すと、明かりの中に脱ぎ散らかした服がベッドの周りの床に散乱している。

手の中の携帯を見ると、メールの着信も電話の着信も数件あった。


確かに、部屋に来て・・・

そう思い出していると、横で寝ている彼女が寝返りを打って向こうを向いた。

何も着ていないその肌に そっと手で触れると、肩が冷たく冷えていたから、自分が起き上がって捲くれてしまった布団をそっと肩まで掛け直してあげていた。


彼女とここに来てからは、ベッドの脇に置いていた携帯がそのサイドテーブルの上でカタカタ震える音が何度かしたような気がしたけれど、二人が揺れるベッドの振動とお互いの吐息に掻き消されて、いつの間にか忘れて眠っていた。

傍にあるソファに掛けたバスローブに手を伸ばして手繰り寄せ、ベッドに起き上がったまま袖を通した。

そっとベッドから抜け出して、バスルームに携帯をもったまま行く。


バスルームの明かりをつけて・・・

バスタブにお湯を張りながら・・・

その淵に座り、携帯の着信を確かめていた。



「 ふっ。まだ、残業してんだ・・・」

独り言を言って、携帯を洗面台の上に伏せて置き、背中を向けてバスローブの紐を解きながら、シャワーに向った。バスタブにお湯を張っているその蒸気がシンクの前の鏡を曇らせて、顔が鏡に写っていなかった。

シャワーのすりガラスのドアを開けて中に入り、ドアを閉めてそのガラス戸の上にバスローブをふわっと掛けた。


シャワーの温かいお湯に溶ける様に・・・

自分の身体に付いた彼女の香りが流れていくのを感じて・・・


・・・目を瞑った。



( アイツは、どうしたんだろ?)

会議の後の自分の同僚の事を思い出しながら、頭から浴びていたシャワーの中で髪を後ろにかき上げ、目を開けた。


アイツ・・・

メールで・・・



“ 自分で解決しろよ。じゃぁな~。 ”


その・・・
・・・あれから・・・・





・・・・・・・・・・





貴方の今の想像は・・・

誰が・・・? 誰と・・・?




私の想像は・・・・・






会議室を出て行った元同僚。

それを見ていた彼女とは、何もまだ進展していない。
ただ、元同僚も感じていてくれた・・・自分の気持ちの違い。


The differences between Tokyo and New York

東京でいるのと、ニューヨークでいるのと・・・同じでは無いと感じていた、二人の人。

ニューヨークに住んでる元同僚も、ニューヨークに住んでいたダナ・キャランの彼女も、
二人とも、東京にいるけれどニューヨークに住んでいる頃のままの様で・・・

彼女達が自分との、男と女としての関係を望む気持ちを表に出してくる積極的な感情は、自分には今は受け入れられないでいた。

自分から彼女には・・・

積極的に向ったけれど、でもちょっとした事での気持ちのすれ違いが起きた。

それは、デートだったのだろうか・・・

上司と部下としての、外回りの様だった事もあって・・・

ドキドキする気持ちもあって・・・

その後会社で会ったのは今日が初めてだったから、その両方の気持ちに戸惑っていた時、元同僚が尋ねてきた。

元同僚が自分に想いを寄せていたと気付いたのは、自分がニューヨークを離れてから彼女の中で浮かんだ事なのだろうか・・・


ニューヨークで、自分にどうしても逢いたいと思ってくれた彼女。

東京にきて、自分にどうしても逢いたいと思ってくれた元同僚。


この二人の中には、自分と仕事がしたいのか・・・

それとも、自分と男と女としての関係を結びたいのか・・・

二人共からそれぞれ、その二つを感じていた。


テーブルに置かれたニューヨーク時間のままの携帯電話。

コツコツと叩いた画面には、彼女からのメール着信者の名前。

“ 今日は日本時間で、残業します。”

元同僚が言った、See you later は、後で。ともとれるけれど・・・
英語で生活している人なら解かるだろと思われる、ただの・・・いつかまたね。その意味である。

それに、You have good observations 

“ 貴方、観察力もいいみたいね。” と、” 貴方の意見・・・いいわよ。”

自分の元同僚が、二つの意味を込めた事は・・・



それぞれ・・・


女として俺を思ってくれる気持ちからの、観察力に気付いた事
上司として彼女を支えたい、彼女の能力に気付いた事

複数だったから、どちらの意味も込めたのだろうと、自分は感じていた。



彼女には、それが分かったのかどうかは・・・


第6話へ・・・




でも、ジャケットに袖を通し会議室の方を一度見ながら、ご苦労さま。と心で言って
ポケットに残されたメモを広げた。

そこには・・・


“ 彼女、センスも意欲も・・・? タイミングにも勘がいいみたいね。”


そう走り書きされたメモだった事を、彼女は知らない。

きっと彼女は、See you later の言葉に、このメモを・・・

ホテルの部屋だと思っていると思うのは、自分だけなのかな. . .


自分のデスクとアイツのデスクに間に置いてあるティッシュ・ボックス。
取ろうとしたら・・・空だった。

トイレに行こうとしたら・・・エレベーターのドアが開いて、思わず乗り込んでしまった。
下についてコツコツと歩きながらそのメモを手の中で折りたたんでいた時、通り過ぎたゴミ箱を振り返って見た。

捨てようとその前に行き立ち止まって、その折りたたんだメモをもう一度見ていた。

気が付いて受付に向かい、一人しか残っていない受付嬢の子に声を掛けた。


「 ねぇ・・・悪いけど・・・」

そう言って受付の中にあるティッシュ・ボックスを指差した。

指差した手に・・・ うふっ。と気が付いて箱ごと両手で、どうぞ。と差し出してくれる。

_____ これも、どうぞ。

と言って自分の鞄から携帯用のウェットティッシュを取り出してくれた。
ありがとう。と言いながら それを受け取って・・・


「 社内恋愛は・・・厳禁かな。 」

そう小声で言いながら自分の親指を人差し指と擦り合わせながら、見ていた。

受付嬢の子に見せる様にその親指を立てて向け、首を傾げてウインクした。


受付嬢の子は両手で口元を隠して、うふふっ、・・・ですか?と何かを言っているのだけれど、隠しているので聞こえなかった・・・のと、個別包装のウェットティッシュを開けた、バリって音とで良く聞こえなかった。


「 ん? ごめん、聞こえなかった。 」

そう聞き返しながら受付に寄りかかって、身を乗り出していた。


受付嬢の子は、人差し指を口に当てて微笑みながら言ってくれた言葉。


_____ 今日は、印鑑をお忘れですか?

その言葉に、いや・・・あるけど。とは思いつつ、さっき同僚に書類のチェック済み捺印を押し付けたことを思い出す。


「 うん、そう。 だからね・・・」

そう言って、真っ赤なルージュの付いた親指を、ウェットティッシュで拭きながら話していて、

「 ん~・・・極秘・・・」

そこまで言うと、後ろから部長の声。 おつかれさん。と言って肩をポンと叩かれた。
なので、付け足す・・・


「 極秘・・・書類 ?・・・だった。 」


お疲れ様でした。と部長に言うも、部長は腕時計を見ながら ルンルンさっさとロービーを歩いていく。

お~ぅ。と、手を挙げて自動ドアがガーっと開くと、向こう側の夕焼けの色に部長が消えていった。

眩しかったのでちょっと視線を逸らし、ルージュの付いた手の甲を裏にむけ手の平を見せて手をちょっと挙げた。

受付嬢の子からは、その手の甲は丸見え。
もちろん、彼女はルージュだと解かってくれている事。

差し出してくれたのは、メイク落し用のウェットティッシュだった・・・

自分のその手の甲に着いていたルージュをティッシュでふき取ると、ありがと。と微笑んで、ティッシュをゴミ箱に投げ捨てた。

メモは・・・

思い直して手の中に持ったまま、ロビーを歩き出した。


自動ドアがガーっと開いたら、ビル風がひゅっと吹き 髪がなびいた時、メモを持っていた手で髪を直していた。

耳元で紙がカサッと音がして気が付き、飛ばされない様にジャケットのポケットにメモをしまった。



いつか・・・

彼女が自分の元同僚と、仕事をニューヨークでする機会ができたなら

才能を見せる前に、素直すぎて落とされた苦い思い出を払拭するには、これで十分だと思い

・・・その時が来たら

東京を経つ時、自信を付けるために渡してあげようと思って微笑んだ・・・敦賀蓮。


敦賀蓮がその時考えていたのは・・・

才能を見せる前。
・・・それは彼女の仕事能力に関して

素直すぎて落とされた。
・・・それは恋をした女性として

その二つを併せ持った、元同僚と部下の彼女。

彼女達が仕事に対して自分に求めるものと、異性として求めるものと・・・
二つの感情が彼女達にある事

それをどうしてあげればいいのか・・・

自分もその二つの感情を、今、持っているのは・・・

誰にだろう・・・と・・・



投げ捨てたティッシュ・・・元同僚のルージュ・・・と、

ポケットにしまった・・・元同僚のメモ



元同僚のこの二つの感情に、考えるのは・・・・・



でもこのメモは、俺が彼女にあげたい・・・極秘書類。かもな・・・


そう思いながらメモをしまったポケットからスマフォを取り出し、元同僚がコツコツと差したメール画面。会議室で震えたもう一つのメールは、同僚で、友達の・・・アイツからだった。


“ 自分で解決しろよ。じゃぁな~。 ”


そっか、彼とは・・・


仕事のパートナーとしても、友達としても・・・

二つの感情を上手くコントロールがお互いに出来ているのに・・・


恋愛と仕事と・・・

友達と仕事と・・・

この二つは、違うものなのだろうか



見上げた空はもう暗くなりつつある、黒の夜が夕日を覆い被し

星の見えない都会の空に、目を瞑ると・・・同じ・・・だと思う。


ぼんやりとした空が、白とも黒とも言わない惚やけたアイツを思わせて・・・

ネオンが目には煌き出す、この・・・地上の星空の中に・・・


自分の姿も溶け込む様に地下鉄の階段を降りて行った。

その時、タッタタタッとスニーカーで階段を降りる姿が思い返される。

ホームで電車を待っていて、グレーなアイツは・・・この地上の星空の何処に消えたのかと考えながら、携帯をポケットにしまった。


地下鉄が入ってきて、その風に目を瞑ると・・・

_____ The differences between Tokyo and New York


思い返す自分の言葉に、目を開けて・・・


瞼に浮かんだ・・・光景に

同じだと思っていた。



・・・ニューヨークでも、星が見えなかったと_________





・・・・・・・・・・・・・




そのメールを送った本人は、フワフワの雲の様なベッド・・・で思い返した・・・
同僚が前に予約してくれた高級ホテルのスィートルームのバスルームにいた。



もちろん、フワフワがお好みなら・・・


フワフワのバスバブルのお風呂を用意して・・・


また、もう一度・・・


今見た携帯の時間が、まだまだ夜中を過ぎたばかりの時間に嬉しくて思い出しながらシャワーを帯びる・・・


・・・貴島秀人。

もちろん、お相手はシャネルの彼女。




「 アイツ・・・どうしたかな~。 」

プライベートな人事(ひとごと)なので、どうでもいい。

ゴシゴシ背中を洗っている姿が、すりガラス越しに映ってシャワーの音に鼻歌も歌っちゃうほど・・・

身体の相性。 ちょ~いい~!と思い出して・・・もう一度早くしたいな~。と・・・

フワフワのお風呂の具合を、ドアを少し開けてのぞき・・・

カメラに向って首をかしげて微笑んで・・・


「 続きは、そうだな・・ふっ、どうしようかな?・・・」


そう言ってドアを閉めた。



洗面台の上で・・・


_____  ブーン、ブーン、ブーン・・・

振動し続ける携帯電話には、貴島秀人が気付くはずも無いのか・・・

それとも、単に無視しているだけなのか・・・


もちろん・・・?


「 ふふっ 。 」



・・・・だよね ______________

Love Letter from RT and CH