Another side of A New Day * the RUMOR in the light - cont.

Posted by 美海 * mimi on 10.2014 A New Day
From far away beyond beautiful...SEVEN SEAs
the one of the sea people called " Wonderland of the sea "

美しい海の彼・方より
   - the Rumor of Mermaild's A New Day in the light -






「 どうした ? お前・・・」

声が聞こえて、ふっと顔をあげると、そこにはさっき森で出会った尚王子が立っていた

何も言わずにその顔を見て嬉しくなった

この王子も海に帰るのならば、一緒に連れて行ってくれると思っていたけれど、本当に尚王子なのかは・・・分からなかった

光の中に吸い込まれてこの姿に変わった事を、打ち明けるのには確かな事ではなかったから

尚王子に、似ているだけかもしれない・・・

そうも思ったのは、さっき出逢った森の妖精の王子様
彼も・・・蓮に似ていたからだった



「 ん~、あの・・・」

どうしたらいいのか分からずに返答に困って俯いた


「 ん?どした? 」

そう言って、膝に手を当て屈んだ様にして私の顔を覗き込んだ彼に、どきっとした

「 お母さんと、はぐれたのか? 」

そう聞く彼は、実はさ、オレも・・・と言いながら、笑っている


その笑った顔は、今までに逢った事の無い男の子
離宮の中では、優しい蓮を筆頭に、蓮の家臣である男の人魚は皆・・・
とても大人のお兄様で、優しく愛しみを私に向けてくれる殿方ばかりだった

目の前のこの人は、カナエの様にお友達みたいだと感じていた


彼は私の頭をくしゃっと撫でて、その撫で方も蓮の様に優しくは無かった

でも、屈託の無い笑い顔に悪気は無いのだと感じていた
そして自分の事を話し出したのは、お母さんと喧嘩して置いて行かれたと言っている


「 どうして? 一人では帰れないの? 」

ん~、そうだな~・・・ちょっと、と言って言い難そうにしていた


「 あのさ・・・ あっち・・・」

そう言って指差したのは彼の帰る方向なのだろう
でも、その先は・・・

・・・海だった


思わず人魚の尚王子だと思い、私も帰れると思って嬉しくなった


「 なんだ? オレが帰れないのが嬉しいのか? 」

そう聞き返す彼は、
そうなんだよ・・・お母さんと一緒じゃないと帰れないんだよな まだ・・・
と言いながら笑っている

尚王子は、踊泳会の姿絵には大人の人魚の様だと思って見ていたけれど
まだ私と変らないのだと感じていた
同い年のカナエも、やっと公務に出られる様に成ったばかり
きっと彼も、そうなのだと思っていた


「 おいで 」

そう言って差し出された手に、手を差し出そうと思ったのは自然な事だった


友達と手を繋ぐように差し出された手


蓮に差し出される手も、森の妖精に差し出された手も・・・
胸の前に手の平が上に向けられて、そっと乗せる様に繋いでいた

でも彼は、手の平を上に向ける事無く自然に出したその手は下の方で
姫として差し出されていない事に気付いてた

だから・・・

私も彼とは友達のようにいたいと思い、それに、尚王子なのかと切り出せなかった

伸ばされた手に手を差し出したら、ぶんぶん繋いでいた手を振りながら海岸を歩いて行く


「 何処に、行くの? 」

手を繋いだまま連れて行かれたので、心配に成って聞いていた


「 ん~、見せたいもの。あんだよ。 」

こっち、オレ様が見つけたんだ~、すっげー綺麗なとこ~~~と、言いながら
どんどん引っ張られるように連れて行かれていた

でもそれが、今までに無く楽しくて・・・
威厳を持った命令のような束縛ではなくて・・・

蓮とは違うと、思っていた


こっちこっち、ほら・・・ そう言って連れて行かれたのは

波の穏やかな湾曲になった 白い浜辺だった



眩い光の中に、眩しいほど白い砂浜が輝いていて・・・思わず
うわぁ~っと声を上げて走リ寄ろうとしたけれど、熱を帯びていて裸足の足が熱いと感じた

「 あつっ! 」

初めての感覚に思わず顔をしかめると、あはは~っと笑って腕を腰に回し抱き上げられた


「 おい、首に抱きついてろよ。落ちるから。 」

そう言われて 思わずその肩に手を乗せていた

彼の私を抱き上げた腕に、自分の重さを感じて・・・気が付いた事

いつもは海の中に浮かんでいて、抱き上げられた事は無かったのと
抱っこされる感覚は・・・この地上でしかできない事なのだと思っていた

落ちるから・・・そう言われて、落ちるってなんだろう?とさえ、思っていたけれど
そっか、落ちたら浮いていないから怪我をするのかもしれない
怪我をしたら離宮に戻った時に、どうした?と誰かに尋ねられたら困る

そう思って、落ちない様におとなしく抱きついた

彼は波打ち際にすたすたと歩きながら、耳元で・・・重いぞ、お前。と言いつつ
笑っている

「 名前は? 」

「 んとね・・・キョーコ・・・ちゃん 」

「 はぁ? お前、自分にちゃんて付けてんのか? ・・・いくつだ?お前? 」

そう聞かれても、自分でも何歳なのか分からない
勝手に姿が子供に成っていたのだから、どうしようかと思って黙っていた


「 まっ、いいよ。 オレは、尚っていうんだ。 」

んぁ!? やっぱり、尚王子だ。そう思って嬉しくなっていた


「 そうだな、じゃ・・・ショーちゃんって、呼んでくれよ。 」

抱っこされたままの耳元に、そう言われてどきっとしてしまった
彼を私は姿絵で見た事があるけれど、彼は私の事を知らない

・・・そうだった、自分は姿絵に載せられていなかった

そう思い出したら、急にいろいろな事を思い出していた

_____ お母さんか・・・

自分は蓮と共に離宮に育ち、私の身の回りの事は全て今まで乳母がやってくれた

蓮のお父様は国王様で、お母様は王妃様・・・
別のお城に住まわれていても、もちろんお目見得に成った事はあった

森の妖精も・・・
お父様は妖精界の王様で、お母様は・・・クイーン・ローザ
王妃様のお名前を付けられた、あの甘い香りの優美な花を思い浮かべていた

私の、お父さんも、お母さんも・・・逢った事は無かった

離宮での暮らしは、何不自由なく乳母が甲斐甲斐しく世話を・・・

物心付いた時には乳母が必ず傍にいて、お母さんの存在を知らされる事は無く
それに疑う事も無く・・・自分は幸せに暮らしていた

だったら、もしかして・・・

私は王室の子ではないのかと急に思い始めていた


「 ほら、着いたぞ。もういいよ、離して。 」

耳元に尚王子の髪が風にふわっと触れて、その時に香った彼からの香り

海の香り・・・

海の中にいては感じること無かった自分の国の香りは、照り続ける光の中で温まっていた

木陰のひんやりとした砂浜に残されて、だーっと一人で走って行った波打ち際
その波打ち際に足を付けて ちゃぷちゃぷと足踏みをしながら、あぁー熱っかったーぁ
・・・と言っている彼は、王子様なのに全然、王子と云う雰囲気を出していなかった


でもその時に、彼が遠く海を眺めながら細めた目に一瞬だけ浮かべた笑顔

その横顔に一体何を思い描いているのか・・・

そう思わざるを得ない表情を見ていた



「 ほいよ。 」

そう言って渡された・・・
戻りながら拾ってきた白い砂浜に落ちていた、巻貝の抜け殻


「 さざえ ? 」

「 おっ、じゃぁ、これは? 」

小さな開いた貝がらに、うん、知ってる、これは桜貝でね・・・、こっちはアサリでしょ、
そんで、紫貝に・・・と答え始めていた


「 へーお前・・・キョーコ、貝は知ってんだ。 」


「 うん・・・」

振り返って見た時、光の反射で顔が見えなくなっていたけれど
突然頭に入ってきた声


_____ やっぱりな・・・お前、人魚だろ・・・

    
「 うん・・・」


「 ん? キョーコお前、本当に今の分かったのか? 」

もう一度今度は、返事の変わりに頷いた

光の中で、遠くに聞こえた妖精の声を思い出していた
海の中で、時を知らされたら戻りなさいと云う事も・・・河口で別れる時も・・・

何度でも逢いたいと言ってくれた・・・

心の中に入ってきた声のままに、彼の言葉も素直に入ってきていた

    
「 あなたは・・・尚・・おう・・・・」

言葉を言い切らないうちに、何持ってんだ?見せろ。と言われ握ったままの手を開いて見せた

ふ~ん、と言いながら蒼い石を摘んで、彼が上に透かしても目の前で裏表確かめても
その色は・・・

・・・変らなかった


あれ?まだ、帰る時じゃないのかな?・・・

そう思っていると、蒼い石と共に・・・こうしてみろよ。と手渡されたサザエ
耳を澄ませて・・・そう言われて貝殻を耳に付けると、音が聴こえてきた


海の波の音・・・

森の風の音・・・



・・・海の中の蓮と

・・・森の中の妖精と


二人の顔が重なって見える様に、思い出していた

ひゅーっと鳴るようなその音に耳を澄ませていると、聞いたことの無い言葉で・・・
森の中で心臓が撥ねた、優しい歌声が聴こえてきた

隣の尚王子が、遠く海の先を見詰めながら歌う心が溶かされる様なメロディ

聞いた事のない、その言葉は・・・

彼の国の言葉なのだろう



そう思いながら、自分の暮らす海の中の情景と

遠く海の先を見詰めて、さっき一瞬だけ微笑んだ横顔

何を思っていたのだろうと思い出す様に・・・目を閉じて・・・


波の音と、風の音と、歌声を・・・聴いていた . . .


_____ 光が溢れ・・・
光が失せて・・・その繰り返しを日々と数え・・・

乳母の教えてくれた言葉の中に、自分のお母さんを思い描いていた

お母さん・・・

頬を伝う感覚は、自分が泣いていると思っていた

涙を流すのは、海の中では分からない・・・


まだ、色の変る事無かった蒼い石を思い出して、彼のお母さんをここで待っていても
いいのだろうと・・・

光の眩さを閉じた瞼に感じて聴いていた



頬に触れた優しく涙を拭ってくれる感覚と共に・・・

ゆらゆらと揺れるような感覚は、波の中の様に

抱っこされた時の様に

なんだろうと・・・思いながら、目を瞑り続けていた. . . _________






二つの選択肢

そのどちらかのお話が、どうか貴方の好きな話でありますように・・・
美しい海の彼・方より



TO...the RUMOR in the palace  *離宮に・・・続く

TO...the rumor in the light FOREVER  *光の国で・・・続き

Love Letter from RT and CH