A New Day ~ TEN *白夜 光の国にて (3)

Posted by 美海 * mimi on 06.2014 A New Day



光の中に・・・


目が合って、見詰め合った時に感じた・・・風・・・



風の中に運ばれてきた、森の樹々の香り

香りの中に揺れる、自分の髪・・・



「 こんにちは・・・」


「 何をしているの・・・」



二人・・・同じ言葉に声が重なっていた

お互いに目が離せないまま、お互いの姿を見ていた



「 貴方・・・ 森の・・・妖精さん? 」

私が見ていたその人は、空から飛んで降りてきた・・・
子供の頃に蓮が読み聞かせてくれた絵本に、飛び魚の様に羽を持ち光の国で飛び回る御伽の世界の話があったと、思い出していた. . . その羽を持つ人を・・・妖精と言っていた

妖精の国に迷い込んで来たのだと思う


その、妖精の私を見つめてくれる瞳の色が・・・


緑の珊瑚礁、樹々の森の色で・・・

その緑のそよそよと音を立て風に揺れる樹は・・・

茶色の珊瑚礁、樹の枝の様・・・


見詰めた彼の瞳の中に、光の国の森が見えた _________




「 君、名前は・・・」

自分が見ている小さな女の子は、紛れもなくキョーコだろうと思っていた
自分が子供の頃から毎朝・・・
彼女を見詰めて一日が始まり、その一日を彼女の朝の笑顔を思い返して過ごしてきた

はっきり名前を言えるのか解からなかったけれど、自然に出てしまった事_________



「 わたしはね、キョー・・コ・・・」

そう言って思い出すのは、遠くに聞こえた声・・・

“ 名前は、ちゃんと・・・”_________



「 キョーコ・・・」

そう言いかけた時・・・うんん・・・と、首をゆっくり横に振って、何かを思い出している彼女の表情に気が付いていた


「 キョーコ・・・ちゃん。って、呼んで・・・」


「 キョーコ、ちゃん・・・」

誰かに地上での名前の呼び方を教わったのか・・・
そう思っていた時に、ひゅっと二人を包む様に森の風が運んできた. . . 甘い花の香り

目を瞑り、その香りを嗅いでいるキョーコを見たら、産まれて初めて香りというものに興味を抱いていると感じていた

二人とも、風の吹いた方に自然と顔が向いていた


「 キョーコちゃん・・・一緒に行ってみる? 」

さっき見た花があった場所に連れて行ってあげたいと思って、手を差し出していた



_____ キョーコちゃん、一緒に行ってみる・・・

そう言われて差し出された手・・・
初めて逢った人に付いて行ってもいいのか、躊躇って手に持っていた蒼い石を両手で握り締めていた

差し出された手を見詰めていたけれど

でも・・・ 差し出された手から視線を上に上げて森の妖精の顔をもう一度見ると、彼の微笑みが・・・

毎日私に、幸せをくれる・・・

蓮の微笑みと同じ様で・・・

差し出された手に、そっと手を重ね合わせた



二人で川に沿って歩き出した森の中は、空に伸びる大きな樹々が揺れる度に光がその緑の隙間から漏れてきて、妖精の髪がその度毎に輝いてる


きっとそれは・・・

蓮がお話してくれた、宝箱の中から零れ落ちていた金貨の色なのだと思っていた

その金貨は、この光の国のもの


風に靡いて、樹から光が零れ落ちる度に、妖精の回りがきらきらと輝いて
なんて綺麗な・・・

そう思っていた

自分の住む離宮では、この地上の光は・・・届く事の無い場所・・・

蒼い石を握り締めていたその手の中に、感じた事の無い感覚に手を開いて見ていた


光の国は海の中と違って、暖かい・・・
一年中同じ水温の中に育ち、光の国というものは、その暖かさの中で体を動かしていると

・・・体から水の滴が溢れてくる


二人で繋いだ手の中も温かくて・・・

二人の手の中に、同じ様に水の滴が溢れていると感じる程、じんわりとした初めての感覚に戸惑っていた



どうした・・の・・・・




Love Letter from RT and CH