恋愛も、仕事も、友達付き合いも完璧で理想の男-第4話 10:40pm

Posted by 美海 * mimi on 22.2014 DRAMA
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________ 10:40pm



会議の時に出したヒント。

「 彼氏は・・・居る? 」


それについては、居ない。と答えてくれたけれど、彼女には気になる人がいると思わされた。
・・・会議の時にはそこまでで終わらせていた。

自分の中でも、ちょっとへこんでしまった事もあって、しっかり会議を終わらせて、さっさと別の仕事にかかろうと云う意欲まで沸きつつあった。

そうなんだよな・・・

自分が落ち込むと逆に、違う方向に意識を向けて、そちらの方にまっしぐらに見る癖がある。

そうやって、ここまでがんばって来れた。


わざとチェリーを取ったのも、自分の気持ちを落ち着かせようと・・・だったかもしれない。

でもランチを過ぎての午後、彼女から記事案ができました。と報告を受けて、見てください。と、挙手をし席を立ち上がったのを見て、くすっと笑って彼女のPC画面を見に席を立った。

メールでいいのに・・・

とも、さっきの質問の様に手を挙げて?ではないのだから・・・と思っていたけれど、彼女も真っ直ぐ見てしまうと、どうも融通が利かなくなるような感じには気付いていた。

彼女のデスクの横で、立ったまま画面を見ていた。


「 うん。じゃぁそれで、GOかな? 」

そう言って胸の前で親指を立てた。
下から覗き込むように見ていた俺を、ん?とした顔で一瞬見た。それに気付いて・・・

「 ん? 大丈夫。それでいいよ。 」

そう言って微笑んだ時、彼女のデスクの端に両手をついたら、彼女の顔を見ていたので気付かなかった。

デスクの端っこに置いてあった、積み上げられていた4冊の雑誌。
日本版、イタリア版、フランス版、・・・そして、彼女の担当、アメリカ版。

手がぶつかってバサッと音を立てて、デスクから落ちてしまった。


「 あぁ、ごめん。 」

雑誌を拾おうと下を向いた時・・・見て止まってしまった。

3冊は裏返しだったり閉じたままだったのに、一冊の雑誌だけが、とあるページで開いて落ちていた。でもそこに付箋は挟んでいない・・・けれど・・・


あぁ、自分で拾いますっ。と、恥ずかしそうに真っ赤になったのを見逃さなかった。

「 どうして? 俺が落としたんだから・・・」

そう言っている間にも彼女は・・・そのアメリカ版だけをさっと拾って胸に抱いた。

あのですね・・・ ものすごく小さな声が聞こえたので、ん?何?と耳を近づけながら、残りの雑誌を拾おうと腰を屈めていた。

その小さな声は、デスクの横の俺のすぐ耳元で・・・
彼氏は居ませんが気になる人がここにいるんです。と、言っていた。


それは・・・

この彼女が、ニューヨークに住んでいる頃から愛読していたという、この雑誌。
この雑誌の仕事に携わりたくて、ニューヨークでもがんばっていたと言う。
日本でこの会社を知った時どうしても入りたくて、いつかニューヨークに転勤とかになりたいと切望していた。

ただ・・・この人に逢いたい。それだけの理由だったらしい。

実際に逢えない人に恋をする事は、この歳になって可笑しい事かも知れないけれど・・・そう言いながら、ペラッと付箋も無しにそのページだけが落ちてパッと開くほど、よく見ているのだろうと思われた。そのページ・・・


広告のページ


・・・それも、俺のページだった。



それを見て・・・

「 ふ~ん、その人?・・・君の憧れって。 」

はい・・・そうですが・・・そう言った彼女。自分の心の中が、ぱぁっと明るくなっていた。


「 そう、なんだ・・・」

屈んだままデスクの端にひじを掛けて、彼女と目線の高さを合わせて言った。


「 ねぇ、君さ・・・」

ポケットからスマフォを取り出して、彼女のデスクに置きパスワードを解いた。


「 この時間に、見覚えあるよね・・・」

後ろに視線を感じたので、振り返ると部長が見ていた。そうそう、社内恋愛ダメなんだよな。
と思ったので、ここは上司らしく・・・と、とりあえずの対処に決めた。

13時間違う時間。今ここは、午後が始まったばかり。ニューヨークは、今日が始まったばかりの深夜過ぎ。24時間以内になら、彼女にもできそうだと思える。

だから・・・


「 今日は、君が残業するなら・・・」

一度そこで区切って、目を瞑って微笑んだ。彼女にだけ聞こえるように耳元で小さな声で続けた。


「 ・・・付き合おうか? 彼氏、居ないんだよね・・・」

目を開けて見つめると、こちらをじーっと見ていた。だから・・・


「 今夜、デートの予定も無いよね。 」

微笑んでそう言って、自分のプライベートのメールアドレスを開いて見せた。


「 じゃ、メールしてくれる? 今日中に。 」

もう一度、ニューヨークのミッドナイト時間で表示されている携帯の画面をトントンと指でタップして差した。

24時間以内に、返事をくれますか?との、意味を込めて・・・


この夜に・・・

ニューヨーク時間の夜は、明日のランチ。明日は週末・・・

何も予定が無ければ、明日の休日。どこかに行きませんか?


・・・との意味も込めて。


この意味を理解してくれているのかは・・・今までの仕事振りを見たら彼女のものの見方や考え方で、これにも気付いてくれるだろうと思っていた。俺への関心がどこまで彼女が解っているのかを試したかった。

雑誌を胸に抱いたまま、うつむいている彼女。

彼女のPC画面に表示されている彼女のメールアドレスを見て、デスクに置いたスマフォで彼女のそのアドレスにプライベートのアドレスから、空メールを送信した。


________ You’ve Got Mail  

彼女の画面にそれを見届けて自分の携帯を取り上げると、彼女は雑誌を胸に抱いて俯いたまま・・・こっそり胸の前で、親指を立ててくれた。


「 じゃぁ、宜しく。 」

自分のデスクに戻って、その後は・・・

今、彼女の見せてくれた、“ 彼氏または旦那に、着て欲しい服のブランドまたはスタイル ”
その題名のついた画面を思い出し彼女の好みを考えながら、仕事していた。


・・・でもその仕事

リストに上げられていたブランドのホームページを部長の真横で堂々と開き、彼女の選んだ服を見て研究していても・・・何も部長に文句を言われる事は無い。




__________ 10:55pm Ending…



3時になると・・・

お決まりの様に、たくさんの子が手作りのお菓子やコーヒーを置いていってくれる。

忙しいのでそれらを気にする事も無く、会議室や外に出たりPCにしか集中してない事の方が多かった。


「 相変わらずだな~。 」

と、俺のデスクの上に並んだカップや箱をみながら、勝手に・・・俺が飲まない甘そうなキャラメル・マキアートやシナモン・ラテを勝手に取り上げて、お菓子の箱まで・・・

「 開けてもいい? 」

と聞くが早いか、手が早いか・・・箱や紙袋に手を伸ばす

・・・貴島秀人



「 全く。手が早いのは・・・」

おっ、旨いっ。とボリボリしながらも・・・すかさず小声で返してくる。


「 昔から、変わらないよ~。 」

そう返してきても、んだな・・・と思って見ていた。


でも俺たちのコーヒーに関しての味の好みが違う事は、幸い。

そう思えるのは・・・

コイツが絶対に手を出さない自信のある、シングルショットのエスプレッソ。

ダナ・キャランの子が置いていってくれるそれには、一度も手を伸ばした事が無いコイツ。
きっと、女性としても・・・興味が無いのだろうと思えた。

彼女の方もコイツを男としては興味が無いと・・・プチトマトの事も思い返す。
それに・・・俺には手作りしか残っていないお弁当を、どれでも。と指してくれた事。

彼女が必ず添えてくれる、お水のボトル。その気遣い・・・
コーヒーとお菓子。その様な他の子達の選択と一人だけ違うこの子。


お水のボトルに手を伸ばし、バキっと蓋を開けて飲んでいると・・・
目の前のPCにメール着信と出た。

クリックしてメールを見ると、その彼女のアドレスだった。

ふ~ん・・・なんだ・・・

そう思ったのは、会社の社用メールアドレスだったからだった。開いて見ると・・・


“ 今夜、残業します。 ”

そう書いてあるので、ん~・・・通じなかったか。と、腕を組んで画面を見ていた。
でも、残業するなら付き合うよ。とは、自分でも言ってしまった事。仕方ない・・・
そう思って、“ 残業に残ります。 ”と、メールを返した。

「 今日、用事は? 」

と、俺のメールをコソッと覗きつつ、キャラメル・マキアートをゴクッと飲んでいる貴島秀人。

「 ん~、無い。でも、残業ができた。 」

そう言い返すと、ごくろ~さん。と言って両手をパンパンと、手に残ったクッキーの粉を叩いている。

すかさず、小声で・・・今日は誰?とチラッと目線でミラノチームの二人を見た。

ん~とな・・・そう言って貴島秀人が横目で見たのは、ミラノチームの・・・

補佐。


プラダのヒールの子だった。


ん!? と思ったけれど、そういうヤツだよな。とは前々から知っている事。
部長が5時になったら、さ~っと居なくなったので、コイツもプラダの子も誰にも気付かれないように、さ~っと居なくなっていた。

・・・それに気付いたとき、ポケットの中で携帯が震えていた。

着信履歴、コイツから・・・

“ 秘密だぞ。 ” 

その返事はしなくていいよな、と思いつつも・・・ヘイヘイと頷いていた。
それじゃぁ、彼女の仕事を助けましょう。と思い、席を立って彼女のデスクに行った。

「 どぉ? どのぐらい掛かりそう? 」

と声を掛けると、今日中に。と言いましたよね。と返ってきた。

「 まぁ、そう言ったけど・・・」

隣のプラダの子は帰社したのが分かっているので、プラダの子の椅子を持ってきて隣に座った。

しばらく二人で、あ~でも無い こ~でも無い・・・と色々ネットの中を探していた。
失礼しまぁ~す・・・と、ワザワザ俺の後ろや横に来て、肩にそっと手を置いてみたり、彼女との間に顔を出したりする子達も、7時近くなったら誰も居なくなった。

「 ここまででいいよ。 」

そう言っても、終わらせたい。と言う・・・
俺も帰りた~い。と思う事は、この子の熱心さを買うならダメと戒めて、
それじゃぁ、さっさと。と・・・気合を入れた。

一度自分のデスクに戻って、自分のタブレットを取り上げて見ると・・・知らないアドレスからメールが来ていた。

誰? と思って開いて見ると、タイトルは・・・

“ From New York ” と成っている。

モデルの事か・・・そう思ってみたら、目の前の彼女からだった。



彼女のプライベートアドレスから、俺のプライベートアドレスに・・・


“ ニューヨーク時間の今日中も、残業してもらえますか? ”

・・・だった。

タブレットをそのまま胸に抱いて、目を瞑って微笑んでいた。
ほんの一瞬だったのだけれど、それを見ていた彼女。目を開けたら目線が合ってしまった。

タブレットを胸に抱いたまま、さっきの彼女と同じ様に・・・

・・・親指を立てて、微笑んだ。


ぱっと顔が明るくなって、だから今日中にしたいんです。と、PCを指差して言っていた。


そっか・・・
俺との、明日の為だったんだ・・・


そう思ったら、じゃぁがんばろう。と思える。


ブラインドが開けたままの窓の外は、電気の消えたビルの窓の数の方が多い。
その下の街の中は、賑っている様にネオンが明るく輝いている。

ブラインドをそっと閉めて、彼女のところに行って後ろから覗いたら、ほとんど終わりかけていた。


「 じゃぁ、後は人選だけだね。任せて。 」

顔を覗き込んでそう言うと・・・あのっ。と視線を逸らす様に横を向いた。

実は・・・そう話し出しながら、俺の載っているページを開いた。

「 あぁ、そうだよ。俺だけど? 」

ん?と思ったのは、前々からだったらしい・・・
ただ似てるかもな・・・ でもモデルがこのエデット編集の上司のわけ無い。と頭の中で決め付ける様に思っていたと言う。




_____ ねぇ、今度・・・


ニューヨークにモデルの仕事で行かなければ成らない時、

・・・もし、君もよかったら

俺と一緒に・・・行ってくれる? ____________






・・・・・・・・・・


__________ 貴方の今の想像は・・・?


最後の台詞を、彼が彼女に言って伝えたのか
最後の台詞を、彼が彼女にメールで伝えたのか

それとも、最後の台詞を心の中に思って、目を閉じて微笑んだのか・・・?

でもきっと

・・・ここに続いている事。私が想像したのは・・・




_____ カチャ・・・


「 お疲れ。・・・食事の前に一息入れようか? 」

そう言ってデスクの端に座り、缶コーヒーを彼女に差し出す・・・



・・・敦賀蓮 ________





でも、私の中では、その日は・・・


もちろん


・・・カジュアル・フライデーの彼。





第5話に続く。 We Essay in … アフター 5 の拘束 

*ニューヨークからの客は・・・自分の元同僚。




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Love Letter from RT and CH