恋愛も、仕事も、友達付き合いも完璧で理想の男-第4話 10:20pm

Posted by 美海 * mimi on 22.2014 DRAMA
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________ 10:20pm




「 おい、お前さ・・・」


会議を終わらせ会議室から皆が出て行ったのを見計らって、同僚に話しかけた。

ホワイトボードを消しながら、えっ、なに?と、以外にも驚いても臆する事も無く、耽々とボードを消し終えていた。

俺は今の会議の中でボードに書き込まれた会議で決定した企画内容を、タブレットで写真に撮っておいた画面を見ていた。イタリアチームの女の子2人の意見を見て、画面を消した。

ちらっと会議室のドアが開けっぱなしに成っているのを見て、ドアを閉めに立った。

ドアの外に目をやると部長はお出かけ中の様だし、会議室の傍にも誰も居ないのを確認した。
ドアを閉めて、タブレットや雑誌を片付けながら話し始めた。


「 早いよな・・・お前。 」

「 あははっ、やっぱ分かった? 」

フェラガモの彼は、全く気付いてなさそうだったな~。と、話し始めた同僚に・・・
すごいよな、上手く丸め込むの。と言った。昔から変わらない同じようなコイツの行動には、似た性格の俺でも理解できないポイントだった。


今日はコイツも俺も、ノータイ。

もちろん、カジュアル・フライデーだったからだった。

社員は皆 個性と拘りを持っていることが、この日初めてのカジュアル・フライデーの姿で垣間見る事ができた。これはこれから人選する時の参考にも成っていた。


・・・それには、ミラノチームの女の子2人。

この一人は、コイツの甘い香りの彼女とは知っていた。でも・・・もう一人。

カプチーノを俺のデスクに置いていってくれた子。
ハートを書かなかった、こいつがこの会議室に持ち込んでクッキーと一緒にゴックンしてしまった方の子だった。


俺が会議中に出したヒント。

「 彼氏は・・・居る? 」

・・・だった。


居る人。と言って手をあげさせたら・・・ミラノの2人ともがバッと手を上げた。

甘い香りの子には、あ~、はいはい。と思って なんとも思わなかったのだけれど、カプチーノを俺に入れてくれた子は、多分あの時は居なかったのだと思えたからだった。

会議の中では、TPOに合わせてのシチュエーションを4つ考えさせて終わった。


_____ まず、基本。

カジュアル
リゾート・カジュアル
セミ・フォーマル
フォーマル

この4つが基本だけど、今回はフォーマルはNGの為フォーマルと名のつくものは・・・
仕事とオシャレをして出かけるデート。の二つにしようという事になった。

でも、その仕事でのカジュアルさ。も・・・と、今日のカジュアル・フライデーに ちなんではどうか?と、ダナ・キャランの香る子が言ってきた。


「 うん、いいよ。 」

そう俺が言ったので、それについての意見を出し始めた皆だったが・・・
ミラノチームの二人ともが、この同僚の事を言っているよな。と、思わせる5つの全てにコイツが当てはまっていた。・・・でもそれを知るのは、俺だけ。

コイツの普段を知る人は、この中に居るのは・・・と見回すと、甘い香りの彼女と俺と、んじゃ、このカプチーノの子も、一口以上ゴックンされたのか、すでに・・・と思って見ていた。


ダナ・キャランの彼女は手を挙げていなかった。

それを見てちょっと安心したが、彼女がハキハキと会議を進めていくのを見ていると、どうも彼女の心の中には誰かが居て、その片思いの人をイメージして言っているような、かなり纏まったイメージでのブランド選出をしていると思わされた。

なるほど・・・好きな人が居るって事なんだ。

そう思い始めたら心を切り替えて、仕事に専念、俺は上司。と云う気に成って会議を終わらせていた。


時計をちらっと見ると、まだ11時過ぎだった。

でも、毎日出勤の早い俺たちにとっては、カフェテリアが混まない内に・・・と、思って言い出そうとしていた。


ぐ~~~・・・

その音が他の誰も居ない会議室に聞こえたので、

「 ランチ、先に行こうよ。 」

・・・と提案する。それにはもう一つの訳があった。


「 うん。行こう。行こう。Let’s go~ぉ 」

そう言って俺の背中を押した同僚も解かってくれている。もちろん、二人ともの為。




一つは、コイツの為。

カプチーノの子や甘い香りの彼女、その他もろもろ・・・一緒にテーブルを囲みたくない。


もう一つは、俺の為。

ま~た、いろんな子が集まってきて、宴会ですか?と・・・他の部署の人に声を掛けられるかの様に成ってしまうからだった。




フロアを抜けてエレベーターに向かう途中、俺ら出かけてくる。部長に言っといて。と近くの男性社員に同僚が声を掛けた。

俺たちが持っていたものが会議のままの、タブレットや書類、写真などだったので、なんの疑いも無く、伝えておきます。とスンナリ出る事ができた。



________ キンコーン・・・


エレベーターが来て、ボタンを押そうと思ったら、ロビーをすかさず横から押した同僚。


「 ん? どこ行く気? 」

「 ・・・外回りだよ? 」


まさか、本当に仕事に行く気? と聞けば、外に食べに行きたいと言っている。


「 さっきのミラノチームの二人とも、可笑しいと思っているに違いない。 」

だって、二人ともがさ~・・・そう話し始めたのは、俺も気付いていた事。
二人が話し出したスタイルは、コイツの普段着であり、コイツの好きなブランド。
そしてコイツに彼女たちが、贈ったものは・・・

彼女たちがそれぞれオフィスで見ている、ネクタイだったから。


今日はノータイだったので、何の問題も無かったけれど・・・あれ?っとした顔の二人は、同じチームなのである。
彼女たちが顔を見合わせて、あははっと微笑んでいたのも見ていた。


彼女たちが何も言い出せないのは、上司である俺が居るから。


______ 社内恋愛、禁止。

その言葉は、彼女たちが好きでしているこの仕事をクビに成りたくないが為、上司の前で暴露したら大変だと云う思いに駆られて、なんとなくもホンワリさせていた会議中だった。

まぁ、イタリアチームだし? イタリア・ブランドが好きだし? とは、彼女たちもお互いに思っている事で、でも何かしら引っ掛かっていそうだな・・・とは、見ていて俺でも解かっていた。


でも・・・コイツはもっと、ドキッとしていたに違いなかった。





_____ ランチから帰ってみると、数人がお弁当を囲みながら話している。


その一グループの輪の中にコイツは何も臆せず、お~っと言って入っていった。

「 美味しそう。食べた~い。 」

と言って指差していたのは、アメリカチームの3人が居るところ。
気になったので見ていたら、どれです?と言うダナ・キャランの彼女の声。

「 それがいい。 」

にこっと彼女に微笑んで、彼女の手作りのお弁当を指差している。

俺が見ているとそれは、きっと・・・そう思っていたけれど、はいどうぞ。と言って彼女が取ったものは、プチトマト。

コイツが指差したのは食べかけのオムレツだったのだろうけれど、その隣のプチトマトのヘタをつまんで渡していた。それを見ていて・・・くくっ。っと可笑しくなったけれど、笑うわけにも行かない。

後ろを向いて笑いそうになっていた。横でコイツが、あぁ・・・どうも。と言ってパクッと食べているけれど、反対の肘で俺を突付いていた。

背中をトントンと叩かれたので振り返ると、彼女が何かお一ついかがですか?と手をお弁当に差し出して言ってくれた。お弁当の中にはもう、手作りのものしか入っていない。
彼女は、手作りでないものをコイツにわざと渡したんだな。と思ってお弁当を見ていた。

「 じゃぁ・・オム・・れ・・」

でも・・・

そう言いかけてお弁当箱の横、小さいタッパーに気が付いた。
そのタッパーに透けて見えたダークチェリーを、指差すと・・・これですか?と聞いてきた。

「 うん。それがいい。 」

じゃぁ、どうぞ。と言って蓋を開けて差し出してくれたので、チェリーを一つだけ摘み、デスクに戻った。


そのテーブルはワイワイ騒いでいる。

ざわめきの中に俺たち二人で、小声で言った事・・・


「 彼女、お前には気がないんだな。 」

負けん気の強いライバルだった俺たちだったから・・・

「 お前、彼女にはその気が無いのか? 」

と返ってきた・・・でも・・・ 

「 そうだな・・・社内恋愛、禁止だろ。 」


そう言うと、何だよ、真面目くさりやがって~。というものの、すでに自分のデスクでもう、真面目に仕事を始めているコイツを見ると・・・

・・・そうそう、仕事もライバル。

そう思って、午前中、会議が延びて片付かなかった仕事に手を付け始めた _________



Love Letter from RT and CH