Dear. Own and Our Remembrance * ONE DAY- 先輩へ
________ キンコーン・・・
「 蓮 」
君が入れてくれた暗証番号は、自分の誕生日に間違いない 2月10日。
動いたエレベーターの中では、顔を見たままニコニコしていて、微笑み返しても言葉は何も無かった。
最上階に着いてドアが開く
家のドアまでもう直ぐなのに、急に廊下で抱きつかれて・・・
「 どうした? もう、10歩も行けば玄関なのに? 」
君には、11歩のその場所で・・・
頬を両手で包まれてキスが欲しいと強請っている。
「 お誕生日、おめでとう 蓮・・・」
唇を重ねる前に囁かれて、どうし・・て・・・と重ねられた唇に、言葉を奪われて・・・
「 今日は、間に合った。
私だけの、蓮の2度目の誕生日。 」
そう言われて手を引かれて、ドアの方に向かった。
________ キスをねだられた時に、君が手首に着けたHeartの時計が見えた時は・・・
12時まで、ものの数10秒前・・・
________ 手を引かれたその時は・・・
12時まで、数秒前・・・・
________ カチャ
Heartの時計を付けた手が、玄関ドアを開けたのを見た時
0時まで、たった1秒前。
シンデレラの魔法が解けたその時間 _________ . . .
自分の望む現実は・・・
夢の時間の中に掛けられた君からの魔法
この1週間、なんとなく心落ち着かない日を過ごしていた自分に
期待を心のどこかでしていた自分には、普通に生活していても、君への愛がよく分からなくて・・・
掛けられたシンデレラの魔法の終わりの時間に
心の中で12時を知らせる時計の鐘の様に、ドキドキと自分の鼓動が耳に届く。
自分で行動を起こして、夢の時間を創ったシンデレラの12時過ぎ。
魔法が掛けられていた、夢の時間が過ぎたら、その時が・・・
ZERO 0 からのスタートで・・・
0時と呼べる時と、12時と呼ぶ時と、24時と呼ぶ時と
その心の違いは、その日によってどんな一日を自分が過ごしたか・・・
楽しかったと心に残るものであったなら
その時を24時と呼ぶのだろう。
まだ続いて欲しい願いを込めて、眠りに付いても夢の中にまで求めるほどに
辛かったと心を痛めるものであったなら
その時を0時と呼び・・・
新しく始まって欲しいと、次の夜明けに期待をして
シンデレラが12時と呼んだその天辺の時間に・・・
永久にその想いを忘れる事無く
永遠に続く夢の時の中に過ごす事を
永 久 に・・・
永 遠 に・・・
希み続ける WISH の願い
目を向けて DESIRE 望み続ける
未来の時に HOPE 希望を想う
自分の未来が見えないのは・・・
これから自分が創る
今はまだ、存在しない かたち無きもの
ドアが開いた12時には、君は・・・
___________ I wish you would be with me
自分とこれからもいて欲しいと、願いを・・・
クリスマス。
君の誕生日に玄関のドアの前で、このメッセージを送った自分。
まだ12時前の街の中は、タワーも橋もイルミネーションが輝いていた。
その窓辺で・・・
キスをしながら背中に回された手に掛けた、キーリング
『 ごめんね、指輪じゃないよ。 』
指に掛けられた感触に、ふと唇を離して自分の指を見た君だった。
自分も知らなかった、どの指か・・・
Dreamsの製作発表前、10本のネイルに光る小さなラインストーンはそれぞれ。
君の指に掛かったキーリングにつけた透明のクリスタルに
ひまわりの色の光が、窓のイルミネーションに輝いて反射していた。
・・・その指、ね _______
細かい産毛の様な見えない棘を、高く伸びる茎に携えて、
自分の理想に近づきたいと願う ひまわりの大輪の花。
玄関を開けて電気を点けたら・・・・・
スポットライトを浴びる様に、ライトの下にひまわりの花が飾られていた。
「 あっ! アレみたい。
理想の男のクランクアップの時。 」
「 あっ、思い出した? 」
うふふふっ・・・・
きっと、2人ともが思い出しているのは、蓮としての2度目の時。
「 あ~~、アレねぇ・・・」
_____ パシッ
「 ちょっと、蓮。
何を思い出してるの? 」
肩をパシッと叩かれて、口元に手を当ててコホンと2人とも咳払いをしたのは、言うまでも無い。
あの・・・ ヘンな感じ・・・。
慣れって怖いよね。って、身体が慣れちゃった・・・ 正にピッタリ密着感がお互いの身体の中に無くて、変な感じだったあの後の事。
自分とこれからも一緒に居て欲しいと・・・って、妊娠したら結婚するからって事?と聞かれながら、そんな簡単な事じゃないよ。と言いながら、玄関を上がった。
「 たいした事は、出来ないけど・・・」
今日はお帰りのキスを玄関前でしていたからか、いつものそれも忘れて
握っていたままの手を繋ぎながら、引かれて行ったのは、誕生日に自分でブラインドを閉めた窓の前。
君の誕生日にその窓の前で、その指に鍵を掛けた。
「 お帰りなさい 」
見詰められて瞼を閉じられたら・・・
「 ただいま、そして・・・」
瞼を閉じて、唇を重ねて・・・
もう一度
「 ・・・おかえり 」
深く重ねたキスに・・・
2人ともが肩に掛けていた仕事用のバッグをその場に置きながら
繋いだままだった手を同時に離して、抱きしめ合った。
時々離される、唇から・・・
一言ずつ
わ・た・し・も・・・
あ・な・た・と・ いっしょに・・・
・・い・た・い
聞こえる様な聞こえない様な、小さなその君の声は、静かな部屋の中に2人の息が合う様に
2人の吐息まで、同時に聞こえる様な気がして・・・
「 そう、思っていても
いいですか・・・・」
唇を離された時に、しっかりそれだけが聞こえた。
・・・時 _________
君の背中に回した手に、君の指に掛かった同じ指に、するっと感覚があった。
目を開けて手を見ようと思ったら抱き寄せられて、返事を憚るように唇を塞がれて
もう一度・・・
時を忘れて・・・・
永遠にこのまま続いて欲しいと願う、シンデレラの様に
夢に向かって自分を見続けて高く伸び美しく明るく咲く ひまわりの様に
願いが叶うのならば・・・
誕生日の願い事は、いくらでも
高い場所に望んでもいいのだろう
ぎゅっと握り締めた手の中に・・・
自分と同じ様に、鍵の感覚があった。
ふふっ・・・
・・なんの鍵だろう?
そう思いながら、目を閉じていた。
掛けられた指は、右手の中指で・・・
君に掛けた指と同じ。
行動力と直感のその指に、仕事への先輩としての事ばかり・・・
だって・・・・
「 敦賀さん・・・」
話す君の言葉が、敦賀さんで・・・
「 なぁに? 」
「 あのね・・・」
「 そうだね、じゃぁ・・・お互いに・・・」
「 はい、そのつもりで。 」
心の中に、2人とも思う・・・
次の自分の誕生日までに、その鍵の何かを見つけ合うという事。
・・・まだ、シンデレラの魔法は ________
0時でもなく、24時でもなく
12時の魔法・・・
・・・・ まだ、続く _______________