恋愛も、仕事も、友達付き合いも完璧で理想の男 -第6話- 10:40pm

Posted by 美海 * mimi on 06.2014 DRAMA
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________ 10:40PM



会社を出て、たわいも無い話をしながら考えていた。


_____ 離れられなくなったってさ、セロテープ取った時に言った意味って・・・ 

そう言った時のコイツの返事。

_____ あぁ、そうだよ。

それは、離れられなくなるほど好きなままで居ると、横の元彼女に言いたかったのかと思っていたから、その丸めたセロテープをもう一度・・・

よく考えろ。と云う意味と、目を覚ませ。と云う意味には、自分の根源を見詰め直せ。と云うつもりで指で弾いた。

コイツが・・・

きっと本気の恋愛をしないと決めたのは、自分が受けるダメージの大きさを知ったからなのか、それともただ本気に成れる相手が居ないだけなのだろうか。

そんな事を考えながら電車に乗って着いた先。


________ カランカラン・・・


ボン・ジョールノ


イタリア語が飛んできた店内は、イタリア人が経営するお店。

_____ いらっしゃいませ~。

その可愛い声も混じって聞こえて、お昼時刻の店内はザワザワしていた。
注文すると、生地を伸ばして窯に入れるので時間がかかるけれどいいか?と、きっとお昼時刻には必ず聞くのだろうと思われた質問に、大丈夫。と2人で微笑んで返した。

さてと・・・と言い出した同僚のコイツ。
時間がかかることを前提にここに連れて来たのかとも思うけれど、いい匂いの店内には疑う気持ちも吹っ飛んでいた。

それ待ってましたと言わんばかりに、ジャケットを脱ぎながら気に成っていた事を聞いてきた。


「 なぁ、彼女。何て言った? お前に・・・」


テーブルに両肘をつき身を乗り出して聞いて来た事。


「 あぁ、香りの事?・・・」

「 それに、なんて言ったんだよ、お前は。 」


躍起に成って質問ばかりされるから、自分も両肘をテーブルにつき腕を組んだ。
身を乗り出して見続けられているから、自分を見ているその瞳をじーっと見詰め、片手でネクタイを少し緩めた。

ふっと微笑むと、何かの緊張が解けた様に真剣だったコイツの表情が緩み、乗り出していた上体を起こしたので、今度は自分が身を乗り出して目の前で言ってやる。


「 ねぇ。そんなに彼女の事が、好きなんだ。 」


そう言いながら指でネクタイを指して、緩めたら?と促すと、ネクタイに手をかけてするっと外した同僚。同じ様に自分も外して、シャツのボタンを2つ外した。


「 何をそんなに気にしてんだ?
 それとも、俺がいい事あるよ。って言った事? 」

「 そう、それ。 」


香りが当たったの?と聞かれれば、いや、違った。と返しつつも、彼女とコイツの反応が知りたくて、さっき彼女の耳元にわざと寄った事に腹を立てていそうだと感じた。だから・・・


「 ん・・・だってさ、秘書にするんだろ。なぁ? 」


微笑みながらそう言うと、ふっと顔を横に背けた同僚。何か話しづらいのかと思い始めてタブレットを取り出した。ひとまず画面を開き、自分の膝の上に置きテーブルの角に立てかけていた。
自分が気に成っていたのは、自分が秘書にしようと思っているダナキャランの香りの彼女からの2つの同じタイトルのメール。

昨日はニューヨークから来た、自分の元同僚であり彼女にとって、蹴落とされた嫌な思い出の人物が自分の事を追ってニューヨークから来たこと。
人前でキスをする事は、アメリカでは当たり前の光景であっても、日本に帰ってくると何か特別なものとして感じた事は、自分も、彼女も・・・だろう。

画面を同僚に見せる事無くメールを見ていると、同じ様に携帯を取り出して画面を見ていたので話し出した。


「 どうして、彼女を秘書にしようと思ったわけ? 
 だってさ、チームに入れなかっただろ? 」


ん~、そうなんだけど・・・と、言う事は何か隠していると思えて成らない。


「 で? 急にそうしたいと思ったのは? 」


タブレットを見ながらサクサク仕事の話をする様に進めると、仕事の話の様に話し出した。


「 彼女のフランス語が必要だと、感じたからだよ。 」

彼女のフランス語力は、学生の頃から知っているし、一緒に旅行に行った時も大丈夫だった事を知っているし・・・何より・・・

そう、ボソボソ小声に成りつつ言い出した事に、急にピンと思いあたった。
画面から目をすっとコイツに移したけれど、目を逸らしてタブレットをテーブルに置いた。


「 なに?じゃぁ、シャネルの子はダメだと思った切欠は? 」


そう問うのはもちろん、一晩過ごしていることを前提に話し出した事。
ん~~~・・・と口ごもるコイツ。なので、傍に寄って小声で言った。


「 じゃぁ、フランス語で試しに囁いてみたわけ? 」


俺の耳元でフッと笑うと、そうだよ。と返ってきた。


「 まぁ、いいか。と思えたのは違うことで・・・
 フランス語には返してくれてなかった。 」


その言葉に、体も性格も相性はいいけれど・・・フランス語で試しに愛を囁いてみても返ってこなかった。きっと言葉に対しての咄嗟の返しが出来るかどうかの反応をみたんだなと思っていた。 


「 で、元彼女は、出来るって事?・・・だよな。 」


違う事に集中していて返せる反応が欲しいのだと云う事は、自分の様に咄嗟に英語が出る事と同じだと思う。それは、ダナ・キャランの彼女には出来ることであるとは、デートをした時、感じていた。


「 で、お前に、彼女なんて言ったんだよ。 」

「 ん、彼女・・・お水置いておきました。 ただ、それだけだよ。 」


その言葉にパッと明るくなった同僚。

だから、いい事あるよって、言ったつもり。と言うと、ご褒美って事と付け足した。


「 だろ。気が利くところも、語学が必要なのも分かってたんだけど・・・
 彼女さ、パリ支社からの派遣で2年だけ、日本に帰ってきているんだよ。
 派遣だからチームに入れなかったのと・・・まぁ、今の自分の彼女と
 ・・・一緒に仕事させたくないかな・・って思ったのとでさ。 」


その同僚が選ばなかったのは、シャネルの子がどれだけ反応できるかどうかを試してなかったから、今ちょっと考えが変わったと言いたいのだろう。
それに自分の下に置いてしまったら、きっと・・・

心が変わってしまうとでも恐れていたのだろうか?

そう思ったのには、甘い香りの彼女を自分の彼女と思ってから、この元彼女に再会したのかと思い当たった。


「 俺ってさ・・・ 」


そう話し出したコイツは、携帯の画面を開いたままテーブルに置いていた。
会議の前に裏返していたサーチ画面に関係していた。これはメールの返事なのだろう。

それは、モデル事務所からのアポイントメントの通知。何通も違うモデル事務所に同じオファーメールを出していたのは、会議が終り2人で話していた時、サーチ済みの事務所へ送る画面を見ていたから分かっている事だった。

相変わらず仕事の速い同僚。
まぁ手も早いのは・・・もしかして、仕事の為になのか?と思い始めてしまった。


「 あのさ、今さっきお前に聞かれた事。
 彼女の事好きなのかと、言われたら・・・

 ・・・今の彼女の方が好きなんだと思う。けどさ・・・」


はぁ~っ。溜息を付き頬杖も付き、横に向いて髪をかき上げたコイツを見ながら、
へぇじゃぁ別に・・・と言いかけた時、視線を外したまま話してきた。


「 もう、俺さ・・・本気の恋愛。したくない・・・
 ・・・かな?って思っちゃったんだよな。彼女が勝手にパリに行った時。 」

「 だから? 」


聞き返すと、テーブルの上に置かれた携帯の画面をオフにして、シャツのボタンを外している。
相変わらず頬杖を付いたままだけれど、視線が俺に急に向いていた。


「 俺って、一度決めたら、貫くタイプだよな? 」


その質問には、Yes であるけれど、時にはそうじゃない事も必要だと言いたくて・・・


「 まぁ、仕事には、それでいいんじゃない? 」


にこっと微笑んでその答えを返すと、お待たせしました~。と横から声が聞こえて運ばれてきた。

2人ともフォークとナイフの入っているバスケットに同時に手を伸ばした。

ぶつかったお互いの手を見合ったまま、オレが先だ。いや、俺の方が早かった。と言い合いながらも、ふふっと笑い合っていた。

食べながら・・・


「 なぁ・・・」

そう言いかけると・・・

「 ん? なに? 」

・・・とモグモグしながら返ってきた。


「 あのさ。上司としての部下へ求めるものと、元彼女としての恋愛感情があった事の・・・
 その今。今の自分の心が危ういと感じるならば、それ・・・
 まだ、本気だって事じゃないのかな? 」


ゴクンと飲み込んだコイツの顔を見て、お水を一口飲んだ。


「 まっ。仕事の中に、上司として部下へ求める気持ちと、恋愛の気持ち。
 自分の中で区別が出来るのなら、そうじゃないし。って事。
 貫こうとか、そんなの、関係ないって思うけどね。 」


「 フッ。・・・なんだよ・・・
  同じ言葉、お前に返すよ。 」
  

お前も社内恋愛禁止だからな。分かったな。お互いに言い合いながら食事をして、食事をしながら行儀が悪いのは承知の上。携帯を出して話しながらもメールしていた。


_____ ブーン、ブーン・・・


目の前のテーブルの上で、コイツの携帯が震えている。
コイツはちらっと携帯を見ると・・・


「 後で、見といてやるよ。 」


そう言って、さあぁさ、熱いうちに食べきれよ。とグイッとまだ半分も食べていない俺の皿を、押し出してきた。



俺がメールしていたのは、コイツに・・・

“ 自分で解決しろよ。”

ニューヨークから元同僚が来た時に送られてきたコイツからのメールを返信にして、自分も全く同じ文章をタイプして送信した。


それに、ダナ・キャランの彼女が送ってきた、2通のメール。

1つは社用に・・・1つはプライベートに・・・

彼女には、俺とはこの区別が出来ていると気付かせてくれた、2通りの同じ文面のメールだった。


“ 残業が必要ですが・・・”

二つとも全く同じだけれど、仕事の残業と休日のお誘いだとは・・・

自分の中にしっかり二つの意味が取れていたから。



だから、今は社用にだけ・・・

“ 今日、残業になるけどいい? ”


部下として、自分の秘書としてのオファーを、食事でもどう?なんて・・・

メールには書かないけれど、この気持ちは・・・


・・・・ 一体 ___________







________ 10:55pm

 


次の日の事・・・


6駅先のスタイリストのオフィスに、同僚と向かっていた。


________ コツコツ・コツコツ

自分達の後ろには、昨夜それぞれ自分の秘書としてのオファーを出した部下が歩いていた。

オフィス街から少し外れた静かな一角の中にある、スタイリストのオフィス。

広い洋館を改装したオフィスはドアを開けると、玄関ホールの様にこじんまりとしていた。
アンティークの椅子やテーブルの少し離れた向こう側には、ドッシリとしたデスクが斜めに置かれて、そこに1人だけ座っていた。

その彼女に名刺を差し出し、アポイントの約束がある事を伝えた。


名刺に目をやり、自分達に顔を見上げた受付嬢の子。

6駅先のそこに居たのは・・・

見た事があった子。地下鉄で合コンの話をしながら降りた一人だった。


「 あれ・・・ん? ねぇ、部長補佐って、どう思う? 」


自分の差し出した名刺を手の平で覆い隠して、そう聴いてみた。

んん?と何か不思議そうな顔をした受付の子だった。もちろん自分の顔に見覚えがあるわけではないのは確かなことだと思っている。

自分の横にいる同僚も、何?知り合い?と肘で小突いてきた。ちらっと同僚の顔を見ただけで受付の子に微笑みかける。

自分達の後ろには、自分の秘書として連れてきた、ダナ・キャランの香る彼女と、もう1人
コイツの秘書として連れてきた、ロジェ・ガレの香る彼女。


なに?なに?と・・・可愛い子を見るとなんだかワクワクしてしまう同僚に顔を向け、その時後ろを一瞬だけ確認すると、自分たちが秘書として連れてきた彼女達はお互い顔を見合わせることも無く俯いていた。


「 ふふ。秘密。 」


ねっ?と受付の子に視線を戻し微笑んだ。
その子はハッとした表情を一瞬した直後、自分が手の平をどけ目の前に差し出した俺達2人の名刺を見て・・・


_____ はい・・・確かにお預かりします。


俯いたままそう言い、重ねた二人の名刺。
重ねた名刺を両手で包み俺と同僚の顔を見て、大きな笑顔を残して後ろに去って行った。


後ろを向く瞬間、受付の彼女は・・・

重ねた名刺を口元に当てていた事を、自分たちが秘書として付けた2人の部下の彼女達がずっと見ていたとは・・・

・・・俺もコイツもしっかり見ていた。





・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




広い洋館は個室のまま、それぞれスタイリストの個人個人のオフィスにしているのだろう。


すごーい。と言いながら、絨毯の敷かれた二階に続く広い階段の上の、大きなシャンデリアを見て・・・


「 俺も将来、こんなフランスの洋館に住みたいな~。 」


と、後ろの元彼女に言っているのか、俺に言っているのか、はたまた ただの独り言なのか区別のつかない、上を向きっぱなしの・・・貴島秀人。


貴島秀人はパリから派遣で来ている元彼女に言っていると勝手に仮定し、そんな彼を一応無視して後ろを振り返り、自分の秘書に話しかける・・・敦賀蓮。


「 ねっ。ニューヨークの古いのとは、ちょっと違うよね~。 」

あぁ、そうですねぇブリティッシュが多いですけどね~。と返してくれる彼女に微笑み掛ける。


「 あっでもさ。 ニューヨークに居た頃、自由の女神って行った事ある? 」


ん~、実は無いです。とかえした彼女に・・・
自分も。そうあれってフランスから来て、フランスを向いてるとは聞いた事あるけどね・・・


「 じゃぁさ、今度、ニューヨークに行かなければ成らない時、

  ・・・一緒に・・・行ってくれる? 」


ん?自由の女神にですか? と、返してくれる彼女は・・・もう・・・
ニューヨークに行くこと自体に異論は無いと思える。それには・・・
自分のモデルとしての仕事なんだとは、自分に憧れてくれた事から分かってくれているから


「 そうだね、秘書として。 」


はいもちろん。と返してくれる彼女。

「 時間が出来たら、そうだな、残業でも・・・」




・・・ぼーっとしたままの貴島秀人は、俺達の会話を聞いているのだろう。


「 ねぇ、パリに行く時、一緒に行くよね。 」


上を向いたまま、そうロジェ・ガレの彼女に話しかけているとは、誰もが分かる。

彼の秘書として、今度は・・・

自分の人生に感じた敗北感を、上司として払拭するのかどうかは・・・



・・この先に ・・・_____________









第7話 we Glad in . . . に続く。
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